株式会社ふとん


ふとんが好き。

最近は「株式会社ふとん」という会社をつくろうかと妄想するくらいにまで愛している。


大学生の頃には、どうして技術は進歩しているのにベッドに車輪がついていて自動運転が搭載されている移動手段は発売されないのだろうかと嘆いていた。


ふとんの中は安心安全。

体をその中につっこんでしばらくすると謎の安心温度まで温度は上昇し、安心温度まで到達すると保温する。

ふとんを発明した人ありがとう。あなたは天才。タイムマシンがあったら会ってお礼を伝えたい。


でも、ずっとふとんの中にいるわけにはいかない。

さすがにお腹が空くし、いくら柔らかな布団が包み込んでくれるとはいえ体も痛くなってくる。

そして、なぜかふとんを愛しているはずなのにずっとふとんにいると外に出たくなる。


ふとんの外は慌ただしい。

ふとんの外は過度に寒かったり、過度に暑かったりする。

ふとんの外はふとんの中と比べると安心安全を見つける難易度が高い。


でも、お腹は空くし、体は痛くなってくるし、なぜか外に出たい感情に動かされるしで、僕たちはふとんの外に出る。


ふとんの外はふとんの中にはないルールがたくさんある。

1人でぬくぬくと幸せに浸るふとんの中とは違って、みんなでみんなの幸せを実現できるように動こうという素敵な目的の下、ルールや価値観が横たわっている。


いつしかふとんの外はみんなでみんなの幸せを実現できるように動こうという素敵な目的をどこかに投げ捨ててルールや価値観だけが独り歩きし、みんなでそのルールや価値観が破たんしないように必死に走り回るという世界になっているような気もするけど。


そんな世界では一人ひとりの安心安全は見えづらく、ふとんに帰って安心安全に包まれる。


ある意味でふとんによってこの世の中のバランスは保たれているのかもしれない。


昼間の世界で得られなかった感覚を取り戻すために夜の世界に布団がある。

夜の世界のふとんは昼間疲れながら不安と戦った人に朝まで大いに満腹感を与えて外に出ようという気にさせ、昼の世界へと背中を押す。昼の世界の秩序を保つために夜ふとんに入る。夜ふとんに入ることを楽しみに昼間は必死になって走り回る。


結局、昼の世界でも夜の世界でも追い求めているものは本来的には同じもののはず。

安心安全、幸福、愛情、ぬくもり。


ふとんの中で一人ひとりが感じる安心感を昼間の世界に持ち寄って、みんなでみんなの幸せを実現できるように動こうという素敵な目的を果たせるような、昼間と夜の世界が相反する関係でバランスを取るのではなく、昼間と夜の世界の境界線が曖昧に溶け合うような世界を目指して。


株式会社ふとん


山本修太郎

山本修太郎のブログやら普段やっている活動に関して発信するためのページ。

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